Violet@Tokyo

【奇跡のレッスン・バドミントン編】リー・チョンウェイを育てたミスボン・シデク氏の指導法・Part1

約7分



東京の、とある公立中学バドミントン部に、世界ランキング1位の選手を育てた世界最強コーチがやってくる!

2016年3月に放送された「奇跡のレッスン〜世界最強コーチと子どもたち」のバドミントン編」を見逃した私ですが、ようやく再放送を見ることができました。
今回のコーチは世界ランク1位、マレーシアの国民的英雄・リー・チョンウェイを育てたミスボン・シデク氏

がむしゃらさに欠ける&実力を発揮しきれないのが課題という16人の部員たち。彼らの秘めた可能性とまだ見ぬ限界を、世界のトップに君臨する選手を何人も育て上げたという彼が、どうやって引き出していくのか?

番組のテーマである「限界を体感すれば身体と球はシンクロする」とはどういう意味なのか?

前後編で放送されたミスボン氏のレッスン。前半はレッスン開始後の様子を中心に伝えています。これ以降、番組を見た感想を書いていきます。なお、リー・チョンウェイに関しては以下の記事も併せてお読みください。

ソフトな人当たりでありながら練習は超・超スパルタ!

初日。どんなコーチが来るのか、全く知らされておらず、「私はミスボン・シデクです」と自己紹介を始めても、彼の現役時代を知らない子どもたちはポカーンとした顔つき。でも自己紹介の中で「リー・チョンウェイを育てた」と明かすと、「ウォー」と歓声を上げ、目を輝かせていたのが印象的。

そう、リー・チョンウェイは日本人にとってもヒーローなのです。

この段階では「優しそうな人で安心した」と、胸をなでおろします。

限界を体感させるトレーニング

ところがレッスンが進むにつれ、その認識はガラリと変わります。「ノーミスで25回、スマッシュを打て!」から始まり、次はコートに入って子どもたちに真剣勝負を挑みます。手も足も出せない子どもたち。それは想定内とした上で、一人一人の実力や人間性をシビアに見定めるシデク氏。

二日目。ウォーミングアップの段階で、バドミントンラケットよりはるかに重いスカッシュラケットを使っての素振りとフットワーク。この段階ですっかり体力を消耗して息が上がる子どもたち。

でもそんなのは無視。レッスンは先へ先へと進みます。間髪入れず、次はバドミントンラケットに持ち替えてのスマッシュ・アンド・ショート。フットワークを取り入れたノック練習…。

とことん、肉体と精神を限界まで追い込みます。レッスンが終わった頃にはヘトヘト。

でもこれで終わりではありません。宿題として自宅でのダンベルトレーニング1000回も命じます。かなりのスパルタです。

限界を体感させるハードなトレーニングの目的

ミスボン氏との懇親会で、ハードなトレーニングの目的が明かされます。
ある生徒から「メンタルが弱い」という相談を受けたミスボン氏は以下のように説明します。

買い物に行くとき、もし10000円持っていれば気分が良いよね?
でも1000円しか持たずに行けばどう?
不安になるよね?
それが自信。練習の量が多いほど良い自信になる。
試合のたびにプレッシャーを感じるなら、「何かが足りない」と君の身体が警告しているんだ。もし勝者になりたいなら、勝者の練習を目指しなさい。そうすれば恐怖を忘れ、全てを迎え討てる。

感想 「なるほど」と思う反面、これは全ての子どもたちに通じるとは思いません。番組の生徒たちはある程度基礎ができているからワンランク上のトレーニングに付いていけてます。でもあれがもし、足の運びもできてない全くの初心者なら?と思うと、正直身体を壊す懸念も抱きました。なので各自のレベルに応じてならアリというのが私の感想。

けれど具体的なトレーニングの内容云々でなく、この理屈はバドミントン以外のあらゆる場に当てはまります。何事においても本番で100%の力を出したければ、入念な準備は必須。きっとそれを伝えたかったのでしょう。

失敗させないため

そしてもう一つの目的は、「試合で泣くくらいなら練習で泣いたほうがいい」という信念。これには激しく納得。

バドミントンに限ったことではありませんが、よく「失敗は何度でもやり直せる」なんて言ってる人がいます。でもこれは失敗に備えての言い訳・もしくは開き直り。世の中には失敗していいものとそうでないものがあります。

本気で臨むなら勝負をかる部分はどこかを見極めなければ、いつまで経っても同じ失敗を繰り返すだけです。

親は子どもを失う時期がある

部内ランク10位。自信がなく、下級生や女子とばかり練習しているという優しく気弱な生徒。「同級生に追いつくぞ!」という目標を持ってほしい、もっと練習を楽しんで欲しいと願う彼の母親に対し、「彼は冷静で客観的」とした上で、ミスボン氏はこう続けます。

子どもがスポーツに夢中になるとき、親は子どもを失います。
それは指導者が彼らの人格を形成するからです。
でも信頼してください。私たちは子どもたちに人生を生き抜くための独立心をもたせたいのです。

そして彼にはこう質問します。「もし君をいい選手に育ててあげると言ったら、何%くらい教えてほしい?」

それまで練習に身が入らず、自信も持てず、いつ辞めようかばかりを考えていた生徒が「100%教えてください!」と答えます。バドミトンで積極的な意思表示をしたのはこれが初めてかも。もしかしたらこの瞬間、彼の母は(良い意味で)子どもを失ったのかもしれませんね。おどおどしたかつての表情はなくなり、表情がまるで違っていますから。

「自分と他人を比べる必要はない。君の力を最大限出してみなさい!」と背中を押され、それ以降、彼はイキイキと練習に打ち込むようになります。練習中に笑顔も多く見せるようになりました。
感想 このシーン、ちょっとウルッときちゃったのですが、今回のレッスンでいちばんの変化を見せたのはこの子ではないでしょうか。

レッスン開始前に比べ、レシーブの位置がガラリと変化しています。開始前は身体に近い位置でシャトルを捉えているから甘い返球しかできなかったのに対し、動きが良くなるにつれ、身体の前でシャトルを捉えるようになりました。またミスボン氏の、計算され尽くした球出しの上手さにも頭が下がります。

前編・まとめ

仮に今、持ち金が1000円でも、自信のタネはいくつも作れます。いつか必ず10000円を持って、胸を張って買い物に行けるのです。

その指導法を番組の後編で詳しく伝えています。後編を見たエントリーも併せてお読みください。Part1は以上です。

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