時代の流れと共に隣人トラブルの質が変化しています。
昔のお父さんは家の中で堂々とタバコを吸えたので、問題になるのは歩きタバコやポイ捨てくらいでした。しかし最近は副流煙の問題や、壁紙が汚れるといった理由から、家の中でタバコを吸えず、しかたなく庭で吸う愛煙家が増えてます。
吸う人にとっては気にならなくても、吸わない人には気持ち悪いことこの上ないのがタバコの煙。あの匂いは本当に嫌ですよね。
やっとの思いで手に入れた新築一戸建て。価格や物件に気を取られ、それらを入念に調べても、どんな隣人が住むかまではわかりません。
騒音などは購入前にあらゆる時間帯、あらゆる曜日に何度か足を運べばわかることですが、隣人がタバコを吸うかどうかまでわかりません。実際にわかるのはそこで生活を始めてから。
「隣のタバコの煙がうちに入ってくる!」
こんな時はどうしたらいいでしょう。
隣人は愛煙家!私はタバコが嫌い!どうしたらいい?
「隣人に『タバコを庭で吸うのは止めてくれ』と言いたいけど、言ったことによって今後のつきあいに悪影響を及ぼしたらどうしよう……」
実はこの問題で悩んでいる人はとても多いです。
できるのはお願いだけ
法的にどうかと言えばタバコは嗜好品なので、好き嫌いは各自の自由。吸う自由と吸わない自由が双方にあります。昨今は健康被害の問題が取りざたされてはいますが、タバコは合法です。
いくら「隣から流れてくるタバコの煙が嫌だ」と言っても、相手が自分の敷地内で吸っている以上、残念ながら法の力でそれを禁止することはできません。できるのは相手に「吸う場所を変えてください」とお願いすることだけです。
受忍限度を超えているかどうか。それをまず頭に入れておかないと、今後のつきあいに暗い影を落とします。最悪の場合、隣人トラブルに発展してノイローゼになるかもしれません。
近隣住民とのトラブルは、違法とまでは言えない問題が積み重なった結果という場合が多いので、どうしても我慢できない場合はいくつかの段階を経て、波風立てずにうまく伝えていきたいですね。
自分が被害者だとは思わないこと
いちばんに考えたいのはお願いの仕方です。タバコを吸わない人にはわずかな匂いでも気になり、まるで毒ガスでも撒き散らされているような気持ちになりますが、吸う人にとってはその煙がどれだけ迷惑なのかがわかりません。
「わからないからそれを教えればいいだろう」となりますが、この時、自分の中に「私はあなたのおかげで迷惑しています」という被害者的な気持ちがほんの少しでもあると、言葉遣いは丁寧でも、どこかにそれが出てしまいがちになります。態度一つで相手の受け止め方は違ってきます。あくまでもこちらはお願いする立場であることを念頭に置きましょう。
最近の風潮として、「タバコ嫌い」が高じて「タバコを吸う人が嫌い」にまで発展してますが、それだとまるく収まる話もこじれてしまいます。
せめて相手にとって楽しみの一つであることだけは理解してあげたいものです。そうでなくても外では肩身の狭い思いをしているのですから。
お願いする前に相手の人物像を調べておく
実はこれがいちばん重要。
人って同じことを伝えても、相手の受け止め方次第で天と地ほどの違いが結果になって表れます。
事情を伝えたところ「ご迷惑かけて申し訳ありませんでした」という人ばかりではなく、「いきなり文句言ってきた」と、被害者意識を強めて身構える人もいます。世の中の全てが「話せばわかる人」ばかりではないのです。
そのため、まずは悪い方の可能性を考えておきましょう。以下は実際に私の周辺であったことです。
タバコの被害を伝えたところ…
隣人・A宅の息子がまだ高校生の頃、親に隠れて部屋でタバコを吸ってました。部屋に煙がこもらないよう2階の窓から身を乗り出して外に煙を吐き、灰や吸殻は窓の外にポイ捨てして証拠隠滅を計ろうとしてました。
しかし住宅密集地でそんなことが成功するはずがありません。自分の敷地内にポイ捨てされた土地所有者Bが、ある日そのシーンを目撃してしまいました。最初のうちこそ我慢していたB宅の家主でしたが、ポイ捨ての頻度があまりにも多かったため、とうとう我慢の限界に達し、しばらくしてから隣人・A宅にお願いに行きました。
「お宅の息子さん、タバコの吸殻を2階の窓からうちの庭に捨てているけど、万が一火事にでもなると困るので……」
すると隣人・Aは、なぜか逆ギレして大激怒。自分が迷惑をかけてる立場でありながら、「私は文句を言われたかわいそうな被害者です」とばかり、B宅の悪口を周囲に吹聴しはじめました。
それ以来AはやたらB宅を目の敵にし、顔を合わせても挨拶ひとつせず、という日々が続きました。それでBの方が仕方なくご機嫌伺いを兼ねて何かの品物を持って行ったところ、「お返しするものがないので」と、AはB宅に品物を突っ返したそう。それを自慢げにあちこちに吹聴してました。
当然のお願いをしたにも関わらず、Bさんは逆恨みされて悪人にされてしまったのです。タバコのポイ捨てや煙が流れてくるよりはるかにタチが悪い人に当たってしまったわけです。
このように認めようとしない人はガンとして自分の非を認めようとしません。息子可愛さで逆ギレしたのではなく、自分が恥をかかされたと思い、自分可愛さで逆ギレしたものと思われます。こういう人ほど他人には厳しく、かつ執念深いです。その変人ぶりは後にわかりましたが、その時点ではまだ引っ越したばかりだったため、全くわかりませんでした。
「話せばわかる」というのは大間違いです。世の中には病的にひねくれた人がいるということも頭に入れて、しばらくは相手の人物像を観察してから伝えましょう。それまでの間はとりあえず空気清浄機でも用意して乗り切りましょう。以下は場所も取らず、お手入れが楽なのでオススメですよ。
近所をリサーチ
風向きによっては煙の流れが変わります。
と考えれば、反対側の隣に住む住人はどう感じているのか?それも調べておく必要があります。
もし吸う場所を変えてもらうことに成功したとしても、今度は反対側の隣人に煙が流れる可能性があるからです。
そんな時、「○○さんに場所を変えるように言われたから」と、あなたのせいになる可能性がなきにしもあらず。
滅多にはないと思いますが可能性はゼロではないと考え、根回しだけは怠らないようにしたいものです。
やんわりとさりげなく伝える
菓子折り持ってとなりがちですが、そうなると大げさすぎます。
いきなり本題はNG。和やかな世間話のついでに「そういえば…」くらいの切り出し方がベストです。
この時はまず、子供やペットのこと、なんでもいいから「自分が相手に何か迷惑になるようなことをしてないか」ということを先に質問してみます。
次に相手のことを、どんなことでもいいですから誉めておきます。そんな流れでタバコの件を切り出すと、会話はスムーズに運びます。
常識的な人なら一度で察してくれるはずです。
「一度で伝えきれなくてもOK」くらいの気持ちでやんわりと伝え、相手の反応を見て、それでも改善しなければ次の手を考えればいいです。改善してくれたらお礼の言葉も忘れずに。
伝えた後はいつもどおりに
言いにくいことを伝えると、どうしても気まずさが残るものです。
相手の反応も気になるところですが、相手だってそれは同じこと。
まずはあなたの方からいつもと変わらぬ態度で接していきましょう。
最初のみ、多少のギクシャクは覚悟の上。そのギクシャクがいつまでも続くわけではないと、のんびり構えていけば、タバコの煙のようにいつか消えてなくなります。
まとめ
このように言いにくいお願いをするときは、いくつかの段階をていねいに踏んでいく必要があります。
人ってひとつ嫌なことがあると、どうしてもそこにだけ目が向きがちになります。ましてや「一生に一度の買い物」と言われるマイホームだからこそ、期待が大きくなります。それはよくわかりますが、完璧を求めすぎると思い通りにならなかった時の落胆も大きいです。
妥協を許さない人ほどイライラが募り、ノイローゼに陥りやすくなります。ある程度は「お互い様」という大らかな気持ちでやっていかないと、長く暮らす地では自分が辛くなっていくばかりです。
せっかくのマイホームですから、嫌なことには片目をつぶって、楽しいことだけを見る意識がいちばん大切ではないでしょうか。
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