「奇跡のレッスン・バドミントン」の後編の感想です。
それに対し、後半は試合につきものであるプレッシャーに打ち勝つ方法が中心です。試合に出る上での実践的なヒントが満載です。
ランクが違う同士の対戦!その目的は?
他校との練習試合を前に、部内の練習試合をします。ルールは11オールからのスタート。対戦相手を部内ランク2位対10位という形での、あえてランクが違う同士を戦わせました。
ミスボン氏は試合前、部内ランク2位の選手に精神的なプレッシャーを与えます。
「0ポイントも与えるな!パーフェクトゲームを目指せ!」
一方格上相手との対戦に萎縮する、部内ランク10位の選手にはこう声をかけました。
「君は失うものは何もない。自分らしくプレーしろ。練習で100%の力を出せたことを思い出してみろ」と励まし、「二人とも、持っているラケットは同じ。でもメガネをかけている分だけ君の方が賢いだろ?」と、心をほぐします。
そしてゲーム開始。先制点は部内ランク10位の子。
パーフェクトゲームを目指したにも関わらず、その1点で動揺しまくる2位の選手。その後も動揺を引きずり結果は僅差の勝利でしたが、この内容に納得がいかない様子。負けて悔しいのはあたりまえ。でも、勝っても悔しい場面がある。それが試合。
悔しさすら感じないのは論外。しかし、それまで「楽しければ良い」と言ってた10位の子は、このとき初めて負けた悔しさを口にします。ミスボン氏は双方にそれを教えたかったのでしょう。
試合に勝ち上がる秘策とは?
部内大会後、本番の試合を前に、子どもたちにこう伝えます。
1対1で対戦するシングルスでは「全力を発揮するには敵にとらわれず、自分の弱さと向き合い、自分と闘うこと」と伝え、一方のダブルスでは「攻撃し続けることで相手にプレッシャーを与えること」と伝えます。
結局のところ、共にプレッシャーとの戦いなのです。要は自分。最後は自分との戦いなのです。ほんの少しでも邪念にとらわれたら、自分に負けるのです。
本番の試合では?
さていよいよ練習の成果を計る他校との試合当日。相手は強豪校です。
相手の気迫に押されて凡ミス続き。連続失点で消極的なプレーが目立ちますが、ミスボン氏は決してミスを咎めません。「君ならできる」と励まし続けます。
やがて流れが逆転。しっかりコートが見えてきたのか、冷静に空きスペースを狙うことができるようになりました。
やがて試合はファイナルにもつれ込み、一進一退の攻防が続きます。決して競り負けてはいません。それつまり、精神的に引いてないということ。まさにこれを求めていたのでしょう。
結果は僅差で負けましたが「良い試合をした」と、その健闘を褒め称えます。
この場面を見たとき、ミゲル・ロドリゴ氏のこの言葉を思い出しました。
負けた試合の中にも「守備は良かった」など、小さな勝利は必ずあるからそこを探す
情報源: 奇跡のレッスン ライブサッカー編 「最強コーチ ミゲル・ロドリゴ 被災地へ」の感想 | Violet@Tokyo
一流の指導者の考え方は、種目は違っても共通する部分が多々あります。
試合後のサプライズ
試合終了。ダブルスで勝利したものの、メイン種目としているシングルスの結果は惨敗。各自が反省の言葉を口にし、チーム内に沈んだ空気が流れます。
すると突然スマッシュ連続200本のノック練習を開始するミスボン氏。その練習は2時間以上も続きます。
身体はヘトヘト。でもイキイキと躍動する子どもたち。試合の不完全燃焼をここで発散させるのが狙いです。落ち込ませたまま終わらないという心のフォローも欠かしません。子どもたちに笑顔が戻ります。このあたりの心の掴み方がとても上手。
究極のショットを惜しげなく伝授
バドミントンは、自分と向き合うと同時に相手を観察する力を養うことがなによりだいじ。相手の立ち位置の確認はもちろん、ラケットの向きや身体の向きはどうか?視線をどこに持っていってるか?足はどこを向いているか?瞬時にそれらを判断して次を読むのです。
同レベルの人と戦う以上、力がどっこいならせめて観察する力を養っていかないとなかなか勝てないというのは、これまでに私が学んできたことです。できるときもあれば、うまくできないこともあり、口で言うのは容易いけど、やってみるとなかなか難しい。これが実感。
ただ、ある程度やっていれば「あのフォームならこのあたりにシャトルが来る」という予測はできるようになります。でもどうしても反応できないのは、打つ直前で面を変えるミラクルショット。例えばシャトルの下に入ったとき、相手の身体はフォアを向いていれば当然フォアかな?と思うのですが、打つ直前で面の角度だけを変えてバックが狙われることがあります。すると全く反応できない。
リー・チョンウェイ選手はこれが得意ですよね。しかもタイミングだって微妙にずらしている。ここが超一流たる所以。
ミスボン氏は最後の練習でそのショットを披露します。当然「どこに来るかわからない」と、子どもたちは足が止まって全く反応できません。
これが「限界を体感すれば身体と球はシンクロする」の意味です。
最後に
以上が番組の内容です。特に後半の精神的な部分の教えは、私にとっても大きな課題です。なので今後試合があるごとに、繰り返し見たい番組の一つです。
以上、偉大なプレイヤーを育てた指導者は、人間的にも偉大だったという、いとも月並みな言葉でこのエントリーを締めくくります。
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