2月29日に子宮・卵巣全摘出手術をして、昨日(3月8日)退院しました。今は自宅でまったり。何から書けばいいのやら。溢れる思いで感慨無量。
これ以降、開腹手術直後の痛みを記録しておきます。
【当日】手術直後は最悪
手術当日。前日の夜から水も食事も抜いているというのに、手術前の緊張で空腹も感じません。心ここにあらずとはまさにこのこと。
予定時間が近づくと、さらに緊張と恐怖で心が張り裂けそう。心臓バクバク。何も考えられない。怖い。手が震える。逃げ出せるものなら今すぐにでも逃げ出したい。
朝からそんな思いで予定時間を待ちました。
午後1時。看護師さんと共に手術室に向かい、手術着に着替えて手術台に。寒かったことだけは覚えています。
そして麻酔開始。当然その後は記憶がありません。あったら別の意味で大変。
数時間後、麻酔から覚めかけた私に夫は「(腫瘍は)良性だったよ」と声をかけてくれました。夫もこの時は胸がいっぱいだったそうです。
「良性。がんじゃなかった。よかった……」
朦朧として思考能力が全くない状態でも、手術が終わったこととこの数か月、常に私の心に重くのしかかっていた暗雲がようやく離れつつある構図だけはイメージできました。
でもそれはほんの一瞬。次の瞬間にはあまりの疲れと激しい痛み、かつて味わったことがないほどの気持ち悪さに襲われ、そのまま深い眠りにつきました。この時は今、自分が手術室にいるのか、回復室にいるのかもわからないくらい、最悪の状態でした。
【手術翌日】痛みとの戦い
気がついたのは翌日の朝方でした。厳しい痛みは相変わらず。その痛みで目が覚めたほどです。でも前日の気持ち悪さは解消してました。それだけでも救いです。
でも頭はまだボーッとしている。「痛い。なんとかして」以外の言葉は見つからず。
後に知りましたが手術後に目覚めた時の気持ち悪さの正体は、血圧が異常に高かったことです。ふだん低めと言われているこの私が、術後の血圧が200だなんて…。
それだけ全身麻酔と開腹手術は、体に負担をかけるということです。
昼近くには尿管を外し、看護師さんに付き添われ、点滴機を持ちながら歩いて病室に戻りました。それにしても尿管の痛いこと!
これが外れただけでもホッとしました。でも腕にはまだ数本の点滴が入っている状態なので、ちょっとした身のこなしが不便に感じました。
手術後3日間の痛みを乗り切ればこっちのもの
この72時間の中で、特に厳しいと感じたのは手術の翌日です。
手術翌日もまだ食事は抜きだから空腹のはずなのに、そんなことさえどうでもいいと思うくらいの激痛。こればかりは「お腹を切っているのだから仕方がない」と、自分を納得させるしかないとわかってはいても、何をどうしたってやっぱり痛い。
時間が過ぎるのをひたすら待つだけ。今はしんどいけど、必ず終わる痛みだし、日を追うごとに楽になっていくと信じて耐えました。
「痛みに関してはそんなに心配しなくてもいい」と、経験者から言われてましたが、実際に体験してその意味がよくわかりました。
最初の72時間さえ乗り切れば、後は日に日に楽になったというのが実感です。そのくらいなら我慢せず、痛み止め薬をフルに使って乗り切れば良いと、事前に担当医に言われていたのでそうしました。
手術から3日も経てば痛みにも慣れてくるし、後は退院を待つだけという気持ちのゆとりも生まれます。確かに痛かったけど、この私でもなんとかなったという感じです。
手術から3日経てば、少しずつ楽しみも増える
それ以降は限られた入院生活の中で、少しずつ楽しみが増えていきます。
まず食事。食事が解禁になったのは手術から2日目の夜。重湯からスタートです。そこから始まり翌日の夜には普通食になったので、入院中の数少ない楽しみが日々増えていく喜びを感じるようになりました。
友人がケーキを持ってお見舞いに来てくれたのも、嬉しかったなぁ。
ケーキなんていつでも食べられると思うから、自分ではあえて買わないけど、入院中は出されたものを食べるしかない日々だから、やっぱり特別なものに感じます。
腫瘍は良性
担当医が私に説明してきたのは、手術から2日後です。腫瘍の組織を術中迅速診断に出した結果良性だったので、腫瘍と子宮、卵巣を切除して終わったそうです。
もし悪性だったら大膜切除もプラスされます。これはがんが転移しやすい場所に対する予防措置です。それがなかったので輸血の必要もなく、予定時間が大幅に早まったそうです。
予定時間が早まったことで待合室にいた夫は、悪い可能性の方を想像したそうです。「良性とわかった瞬間、涙が出るほど嬉しかった」と言ってくれました。夫も密かに心を痛めていたのです。
良性腫瘍と悪性腫瘍の違いとは?
ところで腫瘍というと、よく良性とか悪性とかって言いますよね。具体的に何がどう違うのでしょう。ふと、そんな疑問が頭をよぎりました。
良性腫瘍の場合、細胞が広がるときには膨らむように大きくなります。細胞が増殖するスピードは比較的緩やかです。ふつう、腫瘍が離れた場所に飛んでそこでも大きくなること(転移)はなく、また、一度切除してしまえば再発することも、ほぼありません。腫瘍ができた部分以外への全身的な影響もほとんど現れず、発生後すぐに生命に危険が及ぶことがないのが特徴です。代表的な良性腫瘍には、胃腸や乳腺などの粘膜や内分泌腺にできやすい「腺腫」、肩や背中の脂肪細胞が異常増殖してできる「こぶ(脂肪腫)」などがあります。一般に良く知られている「子宮筋腫」や「おでき」も良性腫瘍です。
情報源: どこが違う?良性腫瘍と悪性腫瘍 – がんに負けない、あきらめない患者様のための最新がん情報
以下にも興味深い記述があります。
腫瘍の良性と悪性を見分ける違いも、まさいに、この「分をわきまえているかどうか」がポイントになります。たとえば「脂肪腫」と呼ばれる脂肪の塊の様な良性腫瘍がありますが、これが増えるのは脂肪組織の中だけで、腫瘍の細胞が筋肉や骨の中に食い込んで大きくなっていくことはありません。しかし、がんの細胞はこういった決まりはお構いなしに増えていきます。胃の内側の粘膜にできたがんも、進行すると、胃の壁を突き破って、膵臓へと浸潤することもあるわけです。こんなことは、良性の細胞では、起こらないことです。分をわきまえず、境界を乗り越えて周辺の組織に浸潤していくというのが、がんの特徴なのです。
情報源: 2/2 良性腫瘍と悪性腫瘍の違いって? [癌(がん)] All About
卵巣にできた私の腫瘍は「繊維腫」です。言われてみれば、手術前の検査で胃や大腸には異常が見つかりませんでした。ちゃんと分をわきまえて、周辺近隣に迷惑をかけることなく、脂肪組織の中でだけ成長していたようです。
とはいえ良性だから安心ということはありません。昨年がんで亡くなった私の親友は、最初は良性腫瘍と言われて経過観察をしていましたが、その1年後に腫瘍は倍の大きさになり、他の臓器にも転移し、手術も不可能な状態でした。
また私のように腫瘍が大きくなれば、今はなんともなくても、いずれ他の臓器を圧迫するようになります。切除して正解でした。
終わってホッとした
それにしても精神的に疲れました。手術の日程がなかなか決まらないだけでなく、手術するまで良性か悪性かがわからないという状態は、蛇の生殺しと同じです。無事に手術が終わって、本当にホッとしました。
結果が良かったとはいえ、術後の回復にどのくらいの時間がかかるのか?元通りの生活ができるのはいつごろなのか?
もろもろの不安が頭をよぎります。しかし余計なことを考えてもしかたがない。何はともあれ、今はここまで来れたことだけを素直に喜びたいです。
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