Violet@Tokyo

借地・ゴミ屋敷・借金ありの三重苦。相続放棄するまでの道のりを記録しておく

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約8分



疎遠にしている夫の親族が突然亡くなったことで、にわかに相続問題が勃発しました。法律上の親族は夫のみ。ところがこの相続、悩ましい問題が山積みです。

まずはざっくりとした概要から。

資産状況の把握

後見人をつけていたのでこれはかんたんにわかりました。

それによると被相続人の預貯金はないに等しく、借金は約100万円超。自己所有の古家はあるけど土地は借地、しかもゴミ屋敷。そこに私たち夫婦は住む予定も改装して運用する気持ちもサラサラない。

となると(相続した場合)解体するしかないのですが、鉄骨3階建ての解体費は、木造よりも割高になります。そこでおおよその見積もりをしました。

解体費だけで200万を軽く超え、家の片付け費用も100万超え。それプラス、現在わかっている負債も100万超え。今の次期だと固定資産税などの税金支払いもあります。そういった諸経費や負の遺産、後にかかってくる税金なども含めれば、少なく見積もっても約500万がマイナス分です。なお解体費については空き家対策の一貫で、自治体から100万を上限とする補助もありますが、それでもかなりのお金が出ていきます。

夫とも相談しましたが、この段階では相続放棄の気持ちが9割強でした。放棄してしまえば更地にする必要もないし、家の片付けもしなくてすむ。面倒なことに関わらなくてすむ分気持ちが楽。

しかし、プラスの財産である借地権があります。借地権の価格は、国土交通省のサイトで調べることができます。土地評価額×借地権割合(%)=借地権価格となり、計算したところ、約1,000万円になります。

ただしこの金額はあくまでも目安なので、不動産屋で調べた相場価格とは違いがありました。

地主との話し合い〜Part1

とりあえず自主さんとの話し合いが先、ということで、何度か話し合いをしてきました。

第一回目の話し合いは、夫ではなく被相続人につけた後見人と地主さんとの間で行われました。借地権を不動産の取り引き業者に買いとってもらう許可を取りに行ったのです。

被相続人の容態が急激に悪化したので、生きているうちに借地権を現金化して、負債を精算しようと考えたのでしょう。こちらは後見人に対して相続放棄の意思を事前に伝えてあったし、資産管理も全て一任していたので、これは後見人独自の判断です。

ところがいきなりの申し出に、地主さんはパニック状態で「第三者には売らない」の一点張り。「だってご親族(夫のこと)の方がいるでしょう?それにまだ、他界したわけじゃはないでしょう?」と、この日は話し合いは失敗に終わりました。

地主側の言い分

ご高齢の地主さんは先祖代々受け継いだ土地を守る意識がとても強い方。

幹線道路から続く一区画を地続きのまま保持していたい、間が欠けて飛び石状態になるのは断じて避けたいという思いが根底にあるみたいでした。

また法律的なことにも疎いようで、こちらが相続放棄をしたら、その借地権は国のものになるという話も、にわかに理解できない様子。しかも昔ながらの感覚があるのか、「親族だから当然相続するもの」と決めつけているみたいです。早い話が”清々しいまでの思考停止状態”という感じの人。

これは時間をかけて話し合いを重ねるしかないのですが、そんな悠長なことを言ってもいられません。相続放棄ができる期間は、わずか3ヶ月しかないのです。

地主との話し合い〜Part2

それからしばらくして被相続人は他界。それを知るとこれまでの逃げの姿勢からは一変しました。地主さんからの電話攻撃が始まり「二人だけで会いたい」と何度も言われました。しかし法律的な話をするなら後見人の同席は必要不可欠です。

押し問答の挙げ句、ようやく各自の予定をあわせて二回目の話し合いが実現しました。地主さんは夫に対し、「相続をして新たな契約者になって借地を引き継いでほしい」と伝えてきました。

それに対し夫は以下を伝えました。

  • 負の遺産は相続したくない
  • 建物の片付け代及び解体費だけで数百万もの経費が予想される
  • 自己所有の土地・建物があるので住む予定もない
  • それなのに借地代だけを月々払うのはバカらしい
  • 借地そのものが面倒に感じる
  • 被相続人とは事情があって疎遠になった経緯があるで早く縁を切ってさっぱりしたい

そして後見人から地主さんに対しては、被相続人の財政状況を説明した上で、こちらが相続放棄した後の流れについても説明してました。裁判所に相続財産管理人を選任してもらうことで地代を得ることができるといった内容です。

これらの説明で地主さんがどこまでわかったのかは定かではありませんが、ある程度はコトの重大さが伝わったようです。捨て台詞のように「損にならなければいいんだろ?」と、夫に言ったそうです。精一杯の虚勢だと感じました。

この話し合いが終わってハタと気づきました。こちらは相続したくないと言ってるのに対し、地主さんは無理を承知で相続放棄しないでくれと願ってる。借地権が国や第三者の手に渡るのを恐れているのでしょう。

ということはつまり…

売り手市場じゃね?

地主との話し合い〜Part3

迎えた第3ラウンド。今回はサシで話し合おうと、夫と地主さんとの一騎打ち。前回の話し合いから数日後、夫の元に地主さんから「朗報があります」と電話がありました。「ほう、どんな朗報だい」と、話だけでも聞こうと夫は出かけていきました。

なんとしてでも相続放棄をさせたくない地主さんは夫にこう言いました。「知り合いで安く解体してくれるところがあるから解体費についてはこちらが金を出す。あなたに対してもそれなりの謝礼は払う」みたいな内容でした。ただし、はっきりとした数字を示すことはしません。いったいどこが朗報なのでしょう?

夫は国土交通省のサイトで調べた借地権の金額を伝えた上で、相続問題である以上、うちわでのやり取りではなく、今後は法律に則ってきちんとした形で進めていきたい。そのためにはきちんと調べて具体的な数字を出してくれといった旨も伝えました。いずれにせよ、今後は自分主導で話が進まないことをやっと理解したのか、「そんなに出せるかな?」と、ポツリと本音を漏らす場面も。

地主の思惑

この一言で相手の思惑がわかります。第三者への売却を許可しなかった結果、自腹を切って借地権を買い取るハメになってしった。でも自分にはまとまった金額を出すゆとりがないし、出したくもない。それでいて土地だけは取り戻したい。さて困った。

それなら法で定められた基準価格を大幅に下回る、自分にとって有利な形で話を進めればいいと考え、それを実践したのが三回目の話し合いです。法律の専門家が間に入るのを嫌ったのもそんな思惑があったからでしょう。「本来は自分の土地なのに、なんでこんなに出さないといけないんだ?」というのが根底にあるのだと思います。

でもこれは借地人を守るための法律を元にはじき出された数字を基準としたものである以上、致し方ないと言ってしまえばそれまでです。もし出すのが嫌ならこちらは当初の予定どおり、相続放棄をするだけで、それ以降のことは地主さんが考えればいいことです。

さらに言うなら相続するもしないも、こちらの自由であり当然の権利。いくら地主といえど他人が他人の相続に口を出す筋合いではありません。それでもなお自分の都合を押し付けたいのなら、法で定められた範囲の金額くらいはきちんと出すべきだと考えてもいます。

なぜか後見人に連絡が入る

数日後、後見人から連絡がありました。

地主さんから後見人に連絡が入り、「ご親族は(夫のこと)相続放棄を強く望まれているようなので、それを尊重してあの土地はもう諦めます」とのこと。

あれほど後見人や法律関係者が間に入ることを嫌い、「夫と二人だけで話したい」と何度も念押ししてたくせに、最終的な返事はこちらにではなく、なぜか後見人に、という不可解な行為。

おそらくバツが悪いからでしょう。事実上の敗北宣言だと感じました。せこい考えが仇になったのです。

あとは手続きのみ

これにより、地主問題は無事解決。あとは自分のことだけを粛々と進めていけばいいだけです。後見人から別の司法書士を紹介してもらうことになりました。迅速にコトを進めていきたいと願ってます。

 

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