Violet@Tokyo

「人生を楽しみたいから子供に遺産を残さない」と言う前に、知っておきたいこと

約7分



先日、知り合いとお金の話をしたときのこと。彼女は「人生を楽しみたいから、死ぬ前にお金を全て使い切る。子供たちには財産を一銭も残さない」と豪語していました。

理由を聞いたところ、「お金は人生を狂わせる。相続で子どもたちが揉めて不幸になったらかわいそう」と言ってました。

聞いていてちょっと笑っちゃいました。同時にこの考えは危険だと思いました。その理由は後でご説明しますが、この方に限らず、最近は子どもたちには財産を残したくないと考える人が増えています。

個人のお金ですから残そうとどうしようと、それは自由。

でもそれを子どもたちに言う前に、最低これだけは知っておいてほしいことをご紹介します。その上で豪語してくださいというのが今回の内容です。

死に金にいくらかかるか知ってる?

全ての財産がゼロになったときに命が尽きることを理想としているなら、「寝言なら寝てから言え」って感じ。平成27年の平均寿命は、男性80.79才、女性87.05才となっています。

日本の「平均寿命」は、正確なデータではなく、実態より短めに計算されていることになる。

情報源: 平均寿命 – Wikipedia

これはあくまでも平均ですよ。しかも一寸先は闇。

ところが多くの人は、老後の準備の目安を平均寿命に当てはめて、しかも健康な状態であることを前提で計算しています。そこがいちばんの誤算。人によっては100才超えるまで生きるかもしれないし、明日コロッと死ぬかもしれない。

明日コロッと死ぬ分にはいい。しかし平均寿命に当てはめた「80才死去予定」でお金をポンポン使い続け、運悪く100才過ぎまで生きちゃったら、その20年の不足分、一体誰が払うのでしょう?

子供? それとも生活保護の申請でもして国に丸投げ?

現役世代の納税者から見れば、冗談じゃないって思いません?

それでも運よく計画どおり、全てのお金を全て使いきって死んだとしましょう。誰が荼毘(だび)にふすのでしょう?

お金は誰が払うのですか? 首都圏の葬儀代にいくらかかるか知ってますか?

島田裕巳(著)「葬式は、要らない」によれば、葬儀にかかる平均は231万ですよ?

直葬だって20万はかかりますよ?

一般的な形式の葬儀費用の平均が200万円弱(※1)であることに対し、直葬は20万円前後から執り行うことができます。 葬儀社の中には「10万円で直葬を行える」と格安をうたうところもありますが、そのプランには葬儀を行うのに必ず必要な物品やサービスが含まれておらず、追加料金が発生することになるので、注意が必要です。

情報源: 直葬を行う前に知っておきたいこと

お墓の管理費だってタダじゃありませんよ?年間どのくらいかかるか知ってますか?しかもそれ、ずっとですよ?

お墓の維持費は年間2万円~8万円程度です。墓地は購入するのではなく「賃貸」されるものなので、「共益費」にあたる「管理費」と草抜きなどの「掃除費用」がかかります。

情報源: 払えない人続出? お墓の維持費はどれくらいかかる?

住居の片付けは誰がするのでしょう?遺品整理代だってバカにできませんよ?

不動産の解体にいくらかかるか知ってますか? 30〜40坪程度でも軽く100万超えますよ?

立つ鳥後を濁さず。子供のためを考えるなら、最低でも死に金くらいは用意しておきましょうよ。これは相続として残すお金ではなく、旅立ちにかかる最低限の経費です。ただし、それ以外はご自由に!

「お金を残すと子どもたちが不幸になる」という勘違い

今の法律、知ってますか?

「財産を残すと格差が生まれて子どもたちが不幸になる」って…?

犬神家じゃあるまいし、一体いつの法律を持ち出しているんだろ?

今の民法では「子どもたちは均等に」(民法900条-法定相続分)と決まっているし、仮に遺書を残してどちらかに多く渡したいとしても、遺留分(民法1028条-遺留分の帰属及びその割合)があります。ましてよほど特別な寄与でもない限り、寄与分なんて認められません。そのくらい、公平を前提としているのが今の民法です。

なので「どちらに現金、どちらに不動産。そうなると子供たちに格差が生まれるのでは?」と心配する人もいますが、そんなことはありません。現金と不動産評価額を合算して、子供の人数で均等に割るのが今の民法。

また負の遺産がある場合は、3ヶ月以内なら相続の放棄もできます。そのくらいはせめて勉強しましょうよ。

お家騒動はそれほど多くない

数百億もの財産を巡ってなら、お金に目がくらんでお家騒動が勃発するかもしれません。

けれど一般市民の場合はそんな心配はほぼ無用です。だいたいは円滑な話し合いの元で、遺産分割協議が執り行われます。裁判だの弁護士だのといった費用がバカバカしく思う程度の相続額がほとんどだからです。

それで揉めるとするなら、

  • それ以前からもともと関係が悪かった
  • 自分の法定相続分を無視して欲をかいた人間がいる
  • 「相続=悪」と一方的にタブー視して、家族でお金の話をきちんとしてなかった
  • 話し合いができる信頼関係がもともとなかった

などの理由でそうなるわけです。

もし不運にも自分の子供がそうなったら…。そういう子供に育ててしまった親の責任と思うよりほかありません。潔く諦めましょう。相続程度でダメになるような子供なら、それ以外のことでもかんたんにダメになるんですから。

でもご安心ください。そのときあなたは天国の住人です。

今やるべきことがあるはず

それより、そんな子供たちにしないように育てる方が先ではないですか?

親の金をアテにするような子供ではなく、生活力を身につけさせるのが先ですよね?

死んでからのことを心配するより、生きている今、ひとつひとつの手順を丁寧に踏むことが先ではないですか?

「お金を残すと子供が不幸になる」と言えるのは、経験者だけ

相続争いで兄弟の仲が悪くなるケースも実際にはあります。しかし相続を体験した人全てがそうなるわけではなく、ほんのごく一部。前項の「お家騒動はそれほど多くない」というのはそういう意味です。

けれどメディアは相続の話題といえば「骨肉の争い」などと、トラブルだけを大きく取り上げます。そのほうがセンセーショナルだからです。

ドラマもそうですよね。相続は2時間ドラマの鉄板ネタです。船越英一郎はどれだけ相続トラブルを解決してきたことか…。 そういった情報ばかり見ていると「相続なんて」という嫌悪の意識が芽生えるのは無理のない話。

しかしその意識の中には本人も気づかない「たくさん貰える人はいいな」「金持ちはいいな」という、やっかみのような気持ちが絶対にないとは言いきれません。

体験してもいないのに、わかった気になって決めつけるのは、そういった無意識下の感情を封印したい、排除したいという気持ちがどこかにあるからです。これを「すっぱい葡萄の論理」なんていいますけどね。

ごまめの歯ぎしりと体験は違う

要は体験してみなければ見えないものがあること、その体験だけでは語りきれないことが世の中にはたくさんあるってことを、自分が知っているかどうかに尽きるのではないでしょうか。

例えば「東大なんて」と東大卒の人が言うのと、そうでない人が言うのは違います。前者は体験。後者はごまめの歯ぎしり。「相続=不幸」と決めつけるのも、それとよく似ているように思うのです。

情報は、切り取り方と受け取り方で内容が全く違ってくるのはそういう意味からです。

最後に

私は、「お金を残すと子供が不幸になる」と信頼できずに悶々とするより、「子供たちなら大丈夫!だからお前たち、あとの始末を頼んだぞ!」と子供たちを信頼して安心して旅立ちたいですけどね。

あなたはどう思いますか?

 

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