昨年4月、バドミントン界を揺るがせた裏カジノ問題。日本のエース・桃田賢斗選手が無期限試合出場停止処分を受けたのは記憶に新しいところ。
それから約1年。ようやく処分が解除され、5月27日から始まる「2017年日本ランキングサーキット大会」で復帰を飾ることになりました。
試合会場のさいたま市記念総合体育館は自宅から約2時間かかりますが、やはり「新生・桃田」をこの目で見たいと、居ても立ってもいられず、試合二日目に当たる昨日、遠路はるばる応援に行ってまいりました。
これ以降、感想を書いていきます。
桃田くん、おかえり!
彼の試合を間近で見たのは、あの騒動の約4ヶ月前、代々木で行われた2015年の全日本総合以来です。
「厳しいバッシングに負けることなく、よくぞここに帰ってきてくれた」という感無量の思い、そして、精神面の成長を感じました。彼が入ってくると、会場から暖かい拍手が沸き起こり、みな同じ思いで彼の復帰を心待ちにしていたのが伝わります。
グッとイケメンに
まずビジュアルが変わりました。頬のラインがシャープになり、ダブついていた体もかなり引き締まった感じ。明るく染めていた髪の毛も元に戻り、かつて第二の故郷である「福島に恩返しをするんだ」と言っていた頃の、素朴で純粋な、本来の桃田賢斗がそこにいました。
それはビジュアルだけでなく、プレー中の態度やコートでの立ちふるまいにも表れて、終始紳士的な印象を受けました。
以前のような感情をぶつけるような派手なパフォーマンスはなく、至って淡々としたプレイ。それは、私が愛してやまないマレーシアの国民的英雄・リー・チョンウェイを彷彿とさせるものでした。
今の方がはるかにイケメンですよ。
コートに立てる喜びと感謝の気持ち
以下の動画は27日の復帰戦・初日の様子です。
試合開始後は緊張している様子がありましたが、やがて波に乗り、得意のネットプレーが飛び出すなど、安定した試合ぶり。角度のあるスマッシュと、コースの打ち分けは脱帽もの。美しいです。
ただ体が軽くなった分だけ、球の重さが損なわれなければいいと、心配の要素はそのくらいです。
試合終了後、コートの4方向に向かって深々とお辞儀をする場面が印象的でした。
奥原希望選手がコートに入るとき、いつもていねいにお辞儀をして入ります。それはコートに立てる幸せを、その都度心に刻むための儀式です。彼もまた、そのような思いでこの試合に臨んだのでしょう。
試合後のインタビューでもこのお辞儀について、「応援してくれた人たちへの感謝の気持ちだ」と、「感謝」という言葉を何度も何度も繰り返し語っていたのが印象的でした。
アクシデントにも淡々と
そして昨日は小野寺雅之選手との対戦中、線審のジャッジミスがありました。
以下の動画、2セット目の終わりの35分28秒の部分を御覧ください。
小野寺選手のスマッシュは、シングルスラインの外に出たので実際はアウト。どう見ても思い切りアウトです。桃田選手もアウトと判断したので手を出しませんでした。
ところが線審はインを取ったので、小野寺選手に得点が入りました。
しかし桃田選手は一瞬「えっ?」という顔をしたけどそれに従い、抗議することをしませんでした。この時点ですでに勝利は確定したようなものだからかもしれません。だとしても、以前ならもっと抗議をしていたでしょう。このあたりにも内面的な変化を感じました。
補足
バドミントンは、横の外側のラインがダブルスで、内側がシングルスラインです。
例えば線審がその前の試合でダブルスを見ていたりすると、うっかりこういったミスをすることは、たまーにあります。
プレーにも磨きがかかる
相当な練習を重ねてきたことが、この二試合でわかりました。
あの騒動のおかげで今まで以上の報道陣が集まり、きっと最初はコートに立つのも怖かったと思います。でもそれを感じさせない、いやむしろ、以前より動きがシャープになって足がしっかり前に出ている印象を受けました。
試合運びも冷静沈着。しっかりコートが見えているように感じられました。このまま優勝まで、怪我なく順調に勝ち進んでほしいです。
いろいろ言う人はいるかもしれないけど、そんなのは放置、放置。勝って勝って勝ち続けることで、全てを無にしてやれ。だから、これからが正念場です。頑張って!
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