Violet@Tokyo

【日大アメフト危険タックル】宮川泰介選手の会見で感じた反省と誠意

約7分



連日大きく取り上げられている日大アメフト部の危険タックル問題。違反をした宮川泰介選手が本日午後、記者会見を開きました。

この記事ではテレビで会見を見た感想を書いていきます。

宮川選手はパワハラの被害者

動画を貼っておきます。

こちらは文章による全文です。
なんとも切ない会見でした。反省の意、自責の念、誠意の気持ち、全て伝わってきました。

試合前から今日まで、どれほどの葛藤があったのかと思うと、涙が出てきました。ごくごくあたりまえの常識を持ち合わせた未来のある好青年が、なぜ冷静な判断力を失ってしまったのか。

自分たちの利しか考えない、目的のためなら相手選手だけでなく自分の教え子でも平気で踏み台にするような、老害たちの餌食になってしまったのか。

これほど聡明な人が、なぜこんな場所で謝罪の言葉を述べるような事態になったのか。

違反行為をしてしまったことはもちろん悪い。彼は実行犯であり相手選手に対しては加害者です。だけどここまで追い詰められてしまったこの選手はパワハラの被害者であり、同情する余地は十分すぎるほどあります。

せめてもの救いは、骨の髄まで恐怖政治に取り込まれずにすんだこと。会見の態度にはそれがよく出てました。

毎日何度もネットやテレビで流れてくる違反タックルの映像。初めて見たとき瞬間的に「やらされている」と感じました。

私もスポーツをしているからよくわかります。絶対的な力を持つ監督がいるチームでは上意下達があたりまえ。服従するしかない立場の選手が、あのような大それたことを独断ではできないはず。ふつうならできないそのまさかを、まして映像がバッチリ残るような試合の場ならなおのこと、できるわけがないのです。絶対に何らかの圧力が加わっていると判断しました。

出来損ないのヒットマン

そしてこうも思いました。もし彼が自分の利しか考えない本当にずる賢い人なら、あれほどわかりやすい行為はしなかったと思うのです。もっと巧妙に反則行為をしてたでしょう。端的に言えば、出来損ないのヒットマン。

明かれた事実は想像以上にひどいものだった

それにしても想像以上に内田前監督と井上コーチの対応は酷いものでした。

「試合に出してほしかったら、1プレー目からQBをつぶしてこい。つぶして秋のリーグ戦に出られなかったら有利だろ」「できませんでしたじゃ済まされないぞ」など、まるで対抗組織にヒットマンを送り込むマフィアの親分。なんでこんな人が指導者として君臨してきたのか、不思議でなりません。

大人のずるさが露呈

宮川選手は「顔を出さない謝罪はないだろう」とカメラの前に堂々と出てきたのに、責任を取るべき立場の内田前監督は明言を避け、後に文書で回答するそうです。

逆だろうと。何のための責任者なんだと。

責任を取るのが指導者の役割なのにそれをせず、問題が大きくなったら苦し紛れに「受取り方に乖離が起きた」「宮川が勝手にやった」と言ってるだけでなく、ネットで叩かれると「正直言って、いろいろな憶測やSNSの拡散に対して、私どもも対応しきれない。僕としても心外というのが正直な気持ちです」と被害者ぶる。

棚の上に上げて忘れる思考とはまさにこのこと。イジメでリーダーが無理やり万引きさせて「アイツが勝手にやった」としらばっくれてるのと同じです。

お粗末な質問スキル

それと会場にいたマスコミ。「監督やコーチをどう思うか」「監督に言いたいことは?」なんて、一体あの場で彼に何を言わせたくてあんな質問をぶつけたのでしょう。

恨みつらみや悪口でも言わせたかったのでしょうか。お粗末な質問スキルの中に、マスコミ特有のいやらしさを感じました。

マインドコントロールが解けた人の強さ

そんな誘導に乗せられることなく、誰のせいにもせず自分の非を潔く認め、自分の言葉で事実をありのままに語り、それでいて余計なことは一切語らなかった宮川くんは立派でした。マインドコントロールが解けて、悪い夢から覚めた人の強さみたいなものを感じました。

宮川選手が最後ギリギリまで抱いていた、ほんのわずかな信頼の糸がプツンと切れたのは、コーチ・監督が自分と一緒に謝りに行ってくれると思っていたのに、それが叶わなかった瞬間ではないでしょうか。その瞬間から覚悟を決めて、自分の頭でしっかり考え、今日の会見に臨んだのだと思います。

ここまでが会見を見た感想です。さきほど見たばかりなので怒りが収まらず、かなり感情的な文章になってますが、どうかご容赦を。

古い体質の体育会系はパワハラの温床

さてこの流れは体育会系の私には容易に想像がつくことです。スポーツは爽やかみたいなイメージがありますがとんでもない、中身はドロドロ、欲望の世界です。

もうすぐ平成が終わろうとしているのに、もちろん全てがとは申しませんが、体育会系だけはなぜか昭和のまま。昭和生まれの私でもついて行けません。科学的な理屈もない、根性論だけが全てみたいな上の世代と関わると、心が病みそうになります。

「お前はやさしすぎるからダメだ」という人格否定は、昭和なら日常茶飯事だったとしても、今なら指導の枠を超えたハラスメントです。

けれど彼らにはその意識がない。自覚がない。「これは今の時代、どう考えてもおかしいだろう」が彼らには全く通じないのです。しかもそれを正す人がいない。だからいつまで経ってもアップデートできないのです。

日大アメフト部の内田前監督や井上コーチなんて、もし広い世界に放り出されれば、今の時代なら真っ先に淘汰されるはずの人間です。でもなぜか安泰。それがいちばんの問題です。

パワハラが起きやすい条件にこんな特徴があります。

①所属する人の流動性が低く、人間関係が入れ替えにくい。逃げることができない。
②前もって「仲良く」すべき相手が決められ、強制される。
③市民社会とは違った特殊な秩序・ルールがあり、“ノリ”に支配されている。
④自分にとって加害者であったり敵であったりする人とも仲良くすることを強制される。
⑤一般社会から隔絶された、治外法権の閉鎖空間となっている。

参照 : 「学校のあたりまえを疑え!」 社会学者 内藤朝雄さん

絶対的な上下関係。おかしいものをおかしいと言えない閉ざされた狭い世界…。

まさにこの条件は宮川君が置かれた環境に当てはまるのでは?

人は常に正しいとは限らない

でも彼には自分の弱さと向き合う強さがある。だからこそこんなことで埋もれてしまってほしくない、再起してほしいと願います。今ような状態でそれを望むのは酷かもしれないけど、もし心の傷が癒えたらこの動画を見て欲しいと願います。

私が愛して止まないリー・チョンウェイが違法賭博問題でペナルティーを受けた桃田選手に送ったコメントです。

「桃田選手のことは知っていますが、コメントするのは難しい立場にあります」としながらも、後からわざわざこう付け加えています。
「彼はまだ若い選手で若い青年である。人は100%正しいことをしているわけではない。彼が間違ったことをしたのであれば、その間違いに気づいて自分を変えて、変化して、強い人になって帰ってきてほしい」といった内容のエールを送っていました。

このエールが宮川選手に届け!

桃田選手もあの騒動のとき、「もうバドミントンは辞めたい」と言ってました。でも桃田選手はその後弱い自分と向き合い、血の滲むような努力を重ねて肉体改造に励み、今は日本代表としてトマス杯に出場するまでになりました。

だいじなのは「次にどうするか?」

桃田選手のその後の活躍は、目を見張るものがあります。今は日本を牽引するエースにまで昇りつめました。

リー・チョンウエイの言葉を借りるなら、人は正しくありたいと願っても、常に正しいわけではありません。でも本当にだいじなのはその後。間違いに気づいた後にどうするかで、その人の本当の価値が決まるのです。

生きていると理不尽なこともあるし、いやらしい大人はゴマンとます。でもそれら全てをわかった上でサポートしてくれる人は必ずいます。嫌なことがずっと続くことはありません。だから宮川選手には、今後は本当に良い出会いがあることを望んでやみません。

 

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