Violet@Tokyo

死期が近づいた愛犬からのサイン

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約4分



約一年に渡る肺腺がんの闘病の末、静かに天に召された愛犬ヴィオレ。

できる限りのことはした。後悔はないと言っても、日を追うごとに「あのときこうしてあげればよかった」という思いが増していきます。

それは夫も同じで、夫も私同様ヴィオレがこんなに突然死ぬとは思っておらず、いつものようにその日も仕事に行きました。それを後悔しているようです。

「ヴィオレの意識があるうちに声をかけてあげたかった。体を触って安心させてあげたかった。あの日に死ぬとわかっていたら、仕事には行かなかった」

そう言って肩を落とします。

人間なら多くは病院で亡くなるから「今夜が峠。今のうちに会わせたい人がいたら」的な、お迎えが近づいてるサインを医者が出します。でも私は家で診ていたので「あとどれくらい」という正確な判断ができませんでした。

ただ今になって考えてみると「ああそういえば」と思う、予兆がいくつかあったのを思い出します。

ここで言うサインとは、死期が間近になったヴィオレがここ数日に見せた変化であり、すべての犬が同じとは思いません。でも部分的に共通するものはあると思うので、参考程度に読み飛ばしていただければと思います。

独自のルーティーンが変わる

その犬ごとに「このシチュエーションなら必ずこれをやる」という儀式めいた行動があると思います。

例えばヴィオレ場合、車に乗るのが好きで移動中はずっとおとなしくしてましたが、ギアを変えてバックすると、必ずワンワン吠えます。

それが今年になってからは、すっかりなくなりました。

また食事の支度をしているときは「早く早く」と犬っ走りをしながらけたたましく催促しました。それは子犬の頃からずっと続いたヴィオレの「お決まり」の行動でした。

でも最近は、それも一切しなくなりました。─食欲が落ちていたからあたりまえではあるのですが。

それら一つ一つが「いつからしなくなったのか」も思い出せないくらい些細な変化の積み重ねで、その時はつい見落としがちになりますが、後から思い返してみると「ああそういえば」となり、それらの点と点が結びついて一本の線になっていくのです。──その線の先が天に召されるとき。

このようにかつて必ずしていたことをしなくなり、(以下のような)今までしなかったことをするようになった時が愛犬からのサインです。

フローリングでよたつく

足が極端に弱ってきたのを感じました。

元気なときはアジリティーで「無駄に高いジャンプをする」と訓練士さんに笑われるくらい運動能力が高かったのに、この数日はまるで手足に力が入らなくなり、よろけて床にへたりこむ場面が何度かありました。

カーペットの上ならなんとか歩けても、フローリングはまったくダメ。

「私、なんで歩けないの?」と、よろけるごとに悲しそうな顔をして私を見上げたあの表情には、もしかしたらヴィオレなりの「もう私は長くない」という悟りがあったのかもしれませんね。

家の中を見渡す

亡くなる2〜3日前に気づいたのですが、ボーっとリビングを見渡すことが何度かありました。自分のケージの前に行って寝床をじっと見ていることもありました。まるで今まで暮らしたこの家の景色を、自分のお部屋の景色を目にしっかりと焼き付けているみたい。

前に飼ってた犬も亡くなる前日にこれをしてたから、これもひとつのお別れのサインかもしれませんね。

最後にいいところを見せる

上の記事にも書いたように、亡くなる前日は河津桜が咲き誇る公園をほんの少しだけ自分の足で歩き、元気な頃と変わらない素振りを見せました。

自宅に戻ってからもいつもよりご飯を多く食べ、夜にはリンゴをねだって力強く吠えました。

久しぶりに聞く、ヴィオレらしい声が嬉しくて嬉しくて。

元気な頃には当たり前に聞けたあの声を、時にはうるさいと感じたあの声を、もう一度聞きたいです。

亡くなる直前のヴィオレの様子を人に話すとこう言われます。

「犬はそうやって最後にいいところを見せていくんだよ…」

ああそう言えばと思ったのは、前に飼ってた子もそうだったなぁと。

それが犬からの、最後のプレゼントなのだと感じました。

生命力のかぎりを尽くして「私のことを思い出すときは、元気な姿だけを思い出して」と言いたかったのかもしれませんね。

今日でお別れ

さて今日はヴィオレのお葬式です。昨夜はヴィオレの近くに布団を敷いて最後の夜を過ごしました。家族なりのお通夜です。

今はまだ姿形があるけれど、数時間後にはダイスキなこの家を出て、ヴィオレの肉体はこの世からなくなってしまう。

それまでの貴重な数時間を、ずっとヴィオレの顔を見て過ごします。

 

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はじめまして。このブログを執筆しているViolet(ヴィオレ)です。
このブログは私が日々感じたこと、考えたことに独自の視点を交えて書き留めている忘備録です。読者の方に少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
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