Violet@Tokyo

モヤっとする「食べものだけでガンが消えた」という主張

約5分



「これはひどい」と思うのは、命の宣告をされ、藁にもすがるような思いでいる人に、医療の専門家でもない人が吹き込む「私はこの方法で末期がんから生還しました」と唱える民間療法。

「スキルス性卵巣がん」て、いったいナニよ?

私も昨年「卵巣がんの疑い」で子宮と卵巣を全摘出する手術を受けました。

高遠智子さんが主張する「卵巣がんによる余命宣告」のシーンは、私が実際に体験したこととは大きく違ってます。

「貴女、ご家族はいらっしゃらないんですよね。それでは、ストレートに説明します。画像を見てください。原発卵巣ガン(スキルス性)でステージ4。胃にも転移して腹水が溜まっています。お腹が張って食欲がないはずです。余命はおそらく半年でしょう。まず処置として、腹水と癒着しているガン細胞を取り除いて、他はお腹を開けた際に対応させてください」 ぼーっとCT画像を眺めている私は、医師からたたみ掛けるように説明された記憶があります。
高遠智子著『食べものだけで余命3か月のガンが消えた 全身末期ガンから生還した、私のオーガニック薬膳ライフ』

情報源: なぜオーガニック薬膳料理研究家・高遠智子さんは28歳の時に癌になったのか? : Organic Revolution

なぜ手術前に余命までわかるの?

高遠智子さんは手術前に、CT画像でスキルス性卵巣がん・ステージ4だと診断されたそうです。

それが違和感。私の場合と大違いです。(そもそも卵巣がんにスキルス性なんて存在しません)

私も手術前にCT・MRI・超音波・レントゲンなどの画像診断と、血液検査による腫瘍マーカーの測定、胃カメラや大腸の検査など、事前に細かく調べました。でも手術で腫瘍を取り出してみないと、悪性か良性かはわからないと言われました。

最終的な診断は、術中迅速病理診断(取り出した腫瘍を病理組織検査すること)によるものでした。だからこそ、「手術もしないうちに、CT画像だけでステージ4、かつ余命半年なんてことがわかるの?」というのが最大の違和感。

余命に関してもそう。もし仮にステージ4の卵巣がんだったとしても、「がんの顔つき(医師はこう言ってた)」によっては、何年も生きていくことは可能だと言われました。

また余命というのは、一概にステージだけでは判断できないそうです。むしろその人が持つ生命力によるものが大きいとのことです。

ではなぜ術前にわからなかったのか?

それは、卵巣にできる腫瘍は種類が多く、画像だけでは判断できないからです。なら針生検すればいいだろうと思うのですが、それをするとがん細胞が腹腔内にパーッと広がるので、一般的には行われてないそうです。

卵巣がんは放射線治療はしない

私の手術は術中迅速病理診断の結果によって、良性だった場合と悪性だった場合の、ツーパターンを想定した上で進められました。そのくらい、手術をするまでわからないのです。

幸い良性だったので、腫瘍と子宮、卵巣を切除しただけで終わりましたが、もし悪性なら大膜切除もプラスされます。その場合は術後ひと月ほどおいてから化学療法(抗がん剤治療)をスタートさせ、それが終わってから(転移を防ぐための)リンパ節を切る二度目の手術が待ってました。しかし高遠智子さんが主張するところの放射線治療は、卵巣がんの場合はやりません。

私は医学の専門家ではありません。「卵巣がんの疑い」で手術を受けただけの立場です。そんな私にでもかんたんに怪しいとわかる内容ですから、医療の専門家にとってはツッコミどころ満載の内容でしょう。というより医学の現場にいる立場の人には、かつてのWELQ問題のように大迷惑でしょう。

カモにしてはいけない人がいる

それにしても次から次へと出回る怪しげな民間療法。「あなたもアフィーで楽して簡単に丸儲け」的なツリ文句や、イタいキラキラ起業女子向けの怪しげなセミナーなら 、失礼ながら「騙される方も…ちょっとねぇ」と思います。

でも命の危機に晒された、極限状態にあるような人をカモにするのは、ゲスの極みもいいところ。小林麻央さん、川島なお美さんもその被害者です。ゲルソン療法を取り入れた私の親友もそう。だからこのようなインチキは許せないのです。

友人が行ったゲルソン療法は、動物性タンパク質と食塩を極力減らし、主食は玄米、野菜は有機栽培のものを摂取し、毎日大量のリンゴ入り人参ジュースを飲むという、美味しい物がダイスキな食いしん坊の友人にはかなりキツいものでした。

情報源: 【胆管がん】抗がん剤を拒否した川島なお美さんの訃報に触れて思うこと | Violet@Tokyo

今どきはレシピ検索がかんたんにできるから、単なる食の本ではなかなか売れません。ネットの炎上芸人さながら、目立つタイトルをつけて極端な持論を展開するか、自身の体験や経歴を大げさに脚色して「これだけで治る」と言い切る手法でも取らないと、話題にもならないのでしょう。

でもいくら本が売りたいからといっても、それだけは人として絶対にやってはいけないことだと思いません?

書籍にせよネットにせよ、個人の生命財産に関わることは、何の資格も持たないド素人が、安易に踏み込んではいけない領域。そう思いません?

余談ですが上記のリンク記事を読んで、不倫して親権取られたというのに、時系列に合わない離婚時期をシラーっと主張し、「ウソが大キライ」と言いながら大嘘をついて大炎上した、某・自称有名女性ブロガーを思い出しました。なんか同じニオイがするのよね…。

平気でうそをつく人というのは、みんな似たり寄ったりですわな。炎上はみっともない。以上です。

 

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