「もう少し、こんな風にすればもっと良くなるのに……」
ある人の行動に対し、良くなることを願ってアドバイスをしても、「でも、だって」と否定の言葉を使い、できない理由を挙げる人。
「いくら言われても、私にはできません!」と逆ギレする人。
自分で選んでおきながら「私はもとももと、こんなことをやりたくなかった」と愚痴をこぼす人。
表面ツラは逆らわないけど、頑固すぎるあまり、自分のやり方に固執して改善する努力をしない人。
こんな風に、聞く耳を持たない人ってどこにでもいますよね。
聞く耳を持たない人には何を言っても無駄なのか?
聞く耳を持たない相手にアドバイスをしても、相手はそれを求めてないので「ウザイ」と思われるのがオチ。
それがわかっているから言いたくないと思っても、時と場合によってはそうもいかず、アドバイスしなければならない時はあります。
例えばチームでの成果を求められているような場合、チーム内にこのような人がいると、メンバーはもちろん責任者がいちばん頭を抱えます。
相手に聞く姿勢がない以上、「言うだけ無駄」と諦めるしかないのでしょうか。
結論から言えば、ちょっとしたアドバイスのコツさえつかめば、聞く耳を持たない人でも素直に耳を傾けるようになります。
なぜ聞く耳を持たないのか?
先輩のアドバイスを素直に聞き入れる人と聞く耳を持たない人がいれば、損をするのは圧倒的に後者です。
「この人には何を言っても無駄」
そんな風に思われてしまえば、いずれ誰からも相手にされなくなります。
それでも聞く耳を持たないのはなぜでしょう。
あなたから言われたくない
いくら先輩でも、尊敬してない人からアドバイスをされると「あなたにだけは言われたくない」となる気持ちは誰にでもあります。
それを抑えるか抑えられないかが大人と子どもの違い。言ってみれば遅れてやってきた反抗期みたいなものと割り切り、相手はまだお子ちゃまだと思うしかありません。
要点だけを伝え、それ以上深追いしない方が賢明です。
ただし「今はわからなくても(できなくても)、いずれあなたもわかる時(できる時)が来るから、言われた内容だけは頭の片隅に留めておいて」と、相手の成長を待つ言葉を添えてください。
「成長なんて待ってられない、今すぐ改善させたい」という場合もあります。
そんなときは、相手が絶対に逆らえないような強い権力を持つ人に助言を依頼するか、どうしても自分しか言える人がいない場合は、「私も人のことは言えないけど」という言葉を添えて反発心を抑えておきましょう。
自分への非難だと捉えしまう
「言ってもらった」ではなく「言われちゃった」と解釈する、俗に言う親切がアダになってしまうケースもあります。
特にその内容が、相手にとってコンプレックスの核心部分であればあるほど痛いところを突かれた心境に陥ります。
そうなるとアドバイスに耳を塞ぎ、自分の心を守ろうとします。
防御の次は攻撃。
「あなたから言われなくても、私がいちばんわかっているわよ!」
という逆ギレも予想されます。
これは「やられる前にやっちまおう」という心境で、弱い犬がキャンキャン吠えるのと一緒です。
厳しすぎる親に育てられた人にこの傾向が強いため、アドバイスをする前に、その人の長所を褒めてから本題を切り出してください。
脳が凝り固まっている
年齢を重ねると、人はどうしても頑固になります。
自分が今までやってきたことが絶対に正しいと信じて疑わないし、新しいことを受け入れるだけの柔軟性も乏しくなります。
「今さら何かを変えなくても、それでやってきたからこれからだってできるはず」
そんな思い込みが強くなればなるほど、聞いても聞かず、見ても見えずの状態になります。
思い込みの目は濁り、思い込みの耳は大切なことが聞こえない、という前提で対処するしかありません。
そのためには相手の考えややり方を、言葉だけで否定するのではなく、どちらが効率的なのかを論より証拠で示しましょう。自分しか信じてない人が次に信じるのはアドバイスではなく、現実を如実に物語るデータです。集められる限りのデータを揃えておきましょう。
テンパっている
「私は必死に頑張っているのに、なんでわかってくれないの?」という不満。
目の前の作業にいっぱいいっぱいで、アドバイスを受け入れるだけの心の余裕がない状態。
これらが聞く耳を持たない理由の一つです。
聖徳太子は一度に何人もの声を聞き分けたと言いますが、世の中そんな器用な人ばかりではありません。
何かをしている最中に話しかけられると「気が散る」と言って嫌がる人だっています。
このようなケースなら話しかけるタイミングを見計い、相手がリラックスしている時にアドバイスをすれば、受け入れる確率はかなり高いです。
受け取り手の状況を確認するのはとても大切で、日ごろのコミニュケーションが物を言うのはこんな時です。
最後に
こうして考えると、聞く耳を持たない人への対応って、ホントに面倒ですよね。
相手に聞く耳を持たせる労力で自分が消耗するくらいなら、自分の口を閉ざした方が圧倒的に楽ですもの。
「言われているうちが華」
最近、その意味がわかるようになりました。
私も過去、自分がアドバイスを受けている時は、正直ウザイと感じることもありました。
未熟さから、相手の言っている内容を理解しきれないこともありました。
「ずいぶん尖っていたなぁ」と、当時の自分を反省します。穴があったら入りたい気分です。
それから時は流れ、自分が当時よりほんの1ミリでも成長してみると、「あの時のあの人の言葉はこういうことだったのか!」と、今頃になってわかったこともあります。
実はこの話を、私よりも年上の人としていたら、その方は笑って私にこう言いました。
「私になんてもう、誰も何も言ってこないわ。言ったところで改善は望めないと思われているから、誰も私には何も言わないの。私みたいに言われなくなったらオシマイよ」
その言葉を聞いた時、思わず「深イイ」と、暖かいものが心によぎりました。
「良薬は口に苦し」と言いますが、苦言は時に耳に痛いと感じることもあります。
その時に苦いのを我慢してイヤイヤでも飲んでおけば、いつか必ずジワジワと効力を発揮して、成長へと導いてくれます。
だから飲む側は、与えられたらとりあえず飲んでおくこと。考えるのはその後でもいい。
そして飲ませる側は、その人にとって本当に必要な薬だと思ったら、聞く耳を持つ持たないに意識を向けるより、オブラートにくるむとか、ジュースに溶かすなどして飲みやすくする工夫に意識を向けることがたいせつではないでしょうか。
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