後ろめたい人ほど饒舌になる、というのは世間で一般よく知られた話。
でも、逆効果です。喋れば喋るほどボロを出し、相手にどんどんヒントを与えてしまいます。そのヒントを元に矛盾点を指摘すると、図星であればあるほど支離滅裂なことを言い出し、最後には逆ギレ。
たまたまそんな光景を目撃して思うこと。それは、隠す必要のないくだらない隠し事はしないに限るということです。
「内緒」の話が思わぬ展開に
コトの発端は女の世界によくある仲間はずれ。内容は飲み会でもランチ会でもなんでもいいけど、便宜上ここでは習い事という設定にしておきます。
何かの習い事にAが誘われました。誘った人はその時に「Bには内緒よ」と念押し、Aは素直に従います。
ひと月後、何も知らないBは全く違う人から同じ習い事に誘われます。
それを知ったAは、突然Bに言い訳を始めます。
Bは深く傷つきます。「Bには内緒」という言葉に傷ついたのです。
別に悪いことをしているわけでないなら、内緒にする必要はありません。あるとしたら、Bに来てほしくない誰かがそこにいるから内緒にしたと考えるのが一般的。AとBは対立していたわけではないので、なんで気まずいと感じたのかも意味不明。
そういった「内緒」という言葉のネガなイメージから、そこの集まりに自分の参加を快く思わない人がいると感じたBは、習い事への参加を迷い始めます。
その時の私の立ち位置は、たまたまその場に偶然居合わせていたいただけの第三者。とばっちりはゴメンなので、聞いてるだけの傍観者です。
追い詰められるほど饒舌になっていく
面白いなと思ったのは、それぞれの変化。
最初のうちこそAはBに対して平謝りしていました。でもやがてAが誘われた時に、たまたま同席していたCの責任にしてしまおうと、言い訳の中でCの名前をさかんに出すようになります。Aは日ごろらからCを心良く思ってなかったのがその理由です。しかしAにとって結果的にこれが墓穴への入り口になるのです。
- 「内緒にしろ」はCに指示されたことだ
- 本当は乗り気じゃなかったのに、Cが無理やり誘うから仕方なく参加した
- Bさんが誘われてないのに、私だけが誘われたことに対して、申し訳ない気持ちでいっぱいだった
私は心の中で、Aの愚かさに呆れました。だって「内緒にしてと言われた」なんて、わざわざ本人に言う必要ある?
「私も少し前から行ってたの」だけにしておけば、Bは不愉快な思いをしなくてすんだはず。知らずにいればなかったことと同じで、それこそ余計なひと言です。聞けば当然Bが不愉快な思いをするのに、なぜそんなことを言うのか、私はむしろAの神経を疑いました。これは悪口を本人に告げ口するのと同じです。
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Aはその後も、ますます饒舌になっていきます。でもそれは苦し紛れの言い訳でしなかないので、内容は矛盾だらけです。私が聞いてても「Cじゃないな。何かウラがある」と思ったくらいですから、人一倍カンが鋭いBも同じように感じてたと思います。
反撃がお見事だった
最初のうちこそショックを受けて動揺していたBですが、「誰が内緒にしろ」と言ったのだろう?という疑問が増幅していきます。そして徐々に反撃を開始。その手腕があまりにお見事だったので、ついでに書いておきます。悪を白状させたい人は必見ですよ。
揺さぶりをかける
話の矛盾点を突くと、のらりくらりと話をそらすAの様子を見たBは、それも想定内としながら真綿で首を締めるように、矛盾点をつつきじわじわAを追い詰めていきます。
そして、満を持してトドメの一発。しおらしくこんな言葉を口にします。
これはかなりギョッとした様子で、その動揺っぶりは傍目からもわかるほどでした。
脅しの言葉は苦しさの表れ
心理戦の勝敗を決めるのは、いかに頭を働かせるかにかかってますね。なんたって人に知られていちばん困るのはAですから。かなり動揺してました。どさくさ紛れに何を言い出すかと思えば、脅しめいた言葉まで口にする始末。
まるで二時間サスペンス。主人公が真相に近づくと、脅迫文が届いたり、駅のホームで突き落とされそうになったり、車にひかれそうになったりするのとまったく同じ。ドラマでは大げさに描くけど、人って追い詰められると、大なり小なり似たようなことをするみたいです。
…と、話が逸れました。その後もまたお見事なので、引き続き書いておきます。
連続攻撃の先に…
脅しをかけられても、全くひるまず強気で迫るB。「騒ぎたいのではなく、確認したいだけ」と、追い打ちをかけます。けっこうな迫力でした。
するとAは意外な言葉を口にします。それまでC以外の名を一切口にしなかったのに、突然別の人物の名前を口にしました。
言い訳が支離滅裂だった理由も多分これ。黒幕をかばっていたのです。
二時間サスペンスも疑惑の目を他に向けようとする裏工作をするけどそれと同じ。
くだらない隠し事は墓穴を掘る
結局Aは余計なひと言が発端で、二重三重の弱みを握られてしまったのです。黒幕をかばうために、しきりに無関係のCの名を出してBに言い訳したわけですから、その事実をCに知られても困るのです。だからBに「騒ぐな」と脅しをかけたのです。
でもBの賢いところは、そこで一気に崖っぷちに追い詰めなかったこと。まだこの段階ではCからウラを取っていません。証拠不十分です。騙されたフリをして「”○○さんのことは知らない”ということは、Cさんということですね?わかりました。以上です」と、一方的に話を切り上げます。
当然Aはこれ以降、何も言えなくなります。とんでもないことになったと、さぞ震え上がったことでしょう。後に、「まるで誘導尋問みたいだった」と不満を口にしてました。
Bの賢いところはもう一つあります。私の前でこれをやったこと。多分証人作ることで「言った・言わない」を防ぎたかったのだと思います。いずれにせよ、Aの完敗です。
そしてこれも後日談。Bはその後も着々と証拠固めを続けます。Cにも真偽のほどを確かめ、Cは濡れ衣を着せられた被害者だと確信しました。BとCが協定を結ぶことまで予想してなかったAと黒幕は、生きた心地がしない日々を過ごしていることでしょう。
その証拠に、Bがドキドキしながら初めて行った習い事の場には、いつもいるはずのAと黒幕の姿はなかったそうです。
最後に
後日談も含め、これらが目撃したことの全てです。
AはCを心良く思ってないから、黒幕をかばうために無実のCに全ての責任をなすりつけようとした。黒幕はBを心良く思ってないから、適当な理由をつけてAを言いくるめてBをハブろうとした。
蓋を開けてみれば真相はこんなところです。
秘密の共有で距離を近づけたいのか、共通の敵を作ることで結束を図りたいのかはわかりません。でもそのような結束は脆い関係です。
いずれにせよ内緒にする必要がないのにわざわざ内緒にしたために、事態をより悪化させてしまった、とても残念なケースです。意図的に人を陥れようとすれば、その報いはやがてそっくり自分に返ってきます。
狭い世界ならすぐにわかるというのに、くだらない、実にくだらない。小学生じゃあるまいし、大の大人がこんなことをやっているなんて、ホント、世も末です。私には理解できません。
サスペンスドラマは登場人物になるのでなく、視聴者として楽しむのがいちばんですね。なお、この出来事に考察を加えた記事が以下です。併せて御覧ください。以上です。
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