Violet@Tokyo

突然の母の死。今は悲しみよりも心が空っぽ状態

約4分



昨日1月3日未明、母は永眠しました。

「朝起きたら死んでいた…」

これは一緒に暮らす兄の言葉です。

その言葉どおり、顔を見ると本当に安らかな旅立ちだったことが伺われ、それだけが今にも崩れ落ちそうな私の心の支えでもあります。

突然の訃報に触れて思考が停止している状態ゆえ、今の思いを言語化できる自信はありませんが、母への思いをここに書き留めます。

今は不思議と涙が出ない

「母ロス」という言葉もあるくらいなのに、私は薄情者なのかな?

正直言うと昨日から一滴も涙が出なくて、愛する人を亡くした時に多くの人が味わうであろう悲しいとか寂しいといった感情に襲われる、あるいは涙が枯れるほど泣くという感じではないんですね。

母と対面した時に思わず口から出た言葉は「よく頑張ったね」という、母の人生に対する労いの言葉。もっと言えば、「これでやっと、ダイスキなお父さんのところに行けるね」という感じかな?

そのくらい、母の人生は波乱万丈でした。この時代を生きてきた多くの人がそうであるように、生涯に渡り母もまた、働きづめの人生を歩んできました。

母の人生を語ってみる

大正12年生れ。享年93歳。3つの時代を生き抜いたことになりますが、母の人生にはいくつかのターニングポイントがあります。

幼くして母親を亡くした山形での暮らし

当時のことはあまり語りませんでした。きっと寂しかったんでしょうね。

新婚時代は社宅暮らし 

東京に嫁いだ姉の後を追って上京し、サラリーマンをしていた父と知り合って結婚。

父が勤務する会社の社宅で新婚時代を過ごし、しばらくは平穏な日々を過ごしていましたが、父が病に倒れ会社を退職。

商売に人生を捧げる

それを機に、日本蕎麦店の営業に踏み切りました。

そこからが苦労の連続。細腕繁盛記さながらの波乱万丈人生が幕を開けたのです。

私は当時のことは全く知りません。私には二人の姉と兄がいますが、その3人は社宅時代に授かった子で、その後に訪れる、地獄のような日々を乗り越えた後に生まれたのが私です。

なので母の本当の苦労をリアルタイムで見てきたのは私ではなく、姉や兄たち。

母と私の関係

私には母との思い出はあまりありません。

それどころか当時の苦労を知らない私は、その寂しさから子育てそっちのけで仕事ばかりしている母に反発したこともありました。

母は自分に母親がいなかったから、母親としての愛情の示し方がわからなかったのかもしれません。それは今だからわかることであって、子供の頃の私にはわからなかったこと。

私が求めていたものと親が与えてくれたものは違ったけど、でも、やっぱり恵まれていたと思います。

年をとるごとに、当時の親の気持ちがわかって、申し訳なくて涙が出てしまう。

私は何もわかってなかったな…って。

親子ってそういうものだけど…。

きっと人生には絶対的な正解なんてないと思います。

その時にベストだと思った道に進むしかないから必死にその道を歩んだとしても、それでも正解はわからない。

その成否が本当にわかるのは死に直面した時。

愚かな人間はこうして歩みを進めてきたのでしょうね。歴史はその繰り返し。

だとしても…。意地を張らずにもっと甘えればよかった。もっと会話すればよかった。

今はそんな思いでいっぱいです。

母は母なりに愛してくれた

働きづくめで楽しみも少なかった母ですが、数少ない楽しみの一つはお正月に家族全員が集まること。

アルツハイマー型の痴呆が進み、薄れゆく記憶の中で、唯一覚えていたのがお正月。

「お正月にはみんな来るの?」と、暮れのうちから何度も兄に問いかけていたそうです。

「だから3日だったのか…」

そう、毎年1月3日は家族が集まる日。

みんなが集まるこの日を楽しみにしていたからこそ、この日に天国に旅だった母。

母なりの不器用な愛を、私はこうなってようやく感じ取ることができました。

最後に

明日は納棺。姿がある母に会える時間はあとわずか。

でも、今ようやく母の生き様を理解できるようになり、今、ようやく母の愛情がわかるようになったからこそ、不思議と寂しさは感じません。これが一晩経った今の正直な気持ちです。

必ずや、私をずっと天国から見守ってくれるであろう母と、これからは心の中で会話を重ねていくつもりです。

 

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このブログは私が日々感じたこと、考えたことに独自の視点を交えて書き留めている忘備録です。読者の方に少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
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