Violet@Tokyo

不機嫌な彼女

約 8 分

昨日はクラブではなく、同好会の練習日でした。

クラブや強化は真剣にやるけど、そこは上も下もなく、気楽に和気あいあいとやることを目的にした場所です。だから肩の力を抜いて練習ができます。

とはいえ、みなそれなりに上達したいから練習をするのですが、個々に練習内容に対する温度差はあります。それにレベルの差もあります。それは仕方がないことです。

けれど一人でやっているわけではないから、みんなで協力し合うことは必要です。その中でも楽しく、なおかつ、充実した練習をしたいと思って参加する人がほとんどです。けれど中にはそうでない人もいます。

仮にSさんとします。好き嫌いが激しくて難しい人。嫌いとなったら徹底的に喧嘩腰になって刺のある言い方をする人です。言葉尻を捉えて粗探しをします。いつも不機嫌そうにしているます。自分は仕切りたがるけど、他人から仕切られるのは嫌がります。

補足するなら、その人に仕切るつもりはなくて、気をきかせて「ああしよう、こうしよう」と、スムーズに進めるための提案を、「でしゃばる、仕切る」と捻じ曲げて受け取る人です。他人に対して小馬鹿にしたような態度で接します。

だから敵も多くなります。因果応報とはよく言ったものです。それは仕方ないことですが、ある意味、実に可哀想な人だなぁと思います。

肝心のバドの腕はどうかと言えば、ずいぶん長いことやっている割にはかなり残念な状態です。

だから誰も組みたがりません。所属クラブでも露骨に嫌がられて、ペアもつけてもらえず、よって個人戦には出られません。団体戦ですらチームに入れてもらえなかったようです。

そこまで嫌われたら居た堪れなくなって普通辞めるだろうと思うけど、彼女の凄いところは、そんな待遇を受けても在籍し続けていることです。どこの練習場所にでも顔を出します。ありとあらゆる場所で見かけるけど、いつも一人でポツンと参加している姿が印象的です。それだけは凄いなぁと感心します。

そんな彼女が昨日、またやってくれました。

彼女が嫌うKさんの言動が気に入らなかった様子です。

来るなり文句を言い始めました。文句といっても堂々と意見を言うのではなく、人に聞こえるような独り言でブツブツ言うだけ。

私はそれを聞いても知らん顔していました。「ああ、またいつものことか」という具合に。

他の人も同じようにしていました。みんな大人だから、あたらずさわらずという距離を保っています。その話題に乗るつもりはないという態度です。本人が必死になって熱弁するほどの大問題ではないし、いちいちそれを話題として取り上げる必要もないと思ったからです。

彼女にしたらそれが面白くない一因だったのかも・・。多分、自分の言葉に、「そうだ、そうだ」と共感してくれる誰かを求めていたのかな?

やがてそんなことにはお構いなしに、自分以外の人たちは何事もなかったかのように練習を始めました。面白くないという思いはMAXになり、とうとうみんなに八つ当たりを始めました。それでも誰も相手にはしなませんでした。

すると彼女はふてくされて、途中で練習を止めて座り込んでしまいました。

八つ当たりをされて、もちろん愉快ではありません。けれど、不思議なことに腹も立ちませんでした。ただ哀れで。

普通の人ならみっともなくてあそこまでの態度は取れません。けれど彼女にはそれができちゃう。別に腹を立てる場面でもないのに、勝手にへそを曲げて周りに八つ当たりをしてその場の空気を悪くするのです。

誰かにつっかかりたくて刺のある言葉を投げかけても、誰もが知らん顔をします。振り上げた拳の行方がなくなった状態です。要するに、お子ちゃまなのであります。

なんでお子ちゃまかって?それは強化の先生の前ではそんな態度は取らないからです。要するに、彼女の不機嫌の根本は、思い通りにならなかった子供が、地べたにに寝転がって手足をバタつかせながら泣き喚いて注目を浴びようとしているだけのことです。

「私はみんなのせいでこんなに傷ついたの ! わかって !」と、周りに気を使って欲しいだけ。

しかもそれが正当な要求でないことも彼女自身が一番わかっています。だから先生の前ではそれをしないのです。

もし自分の要求が正当な物だというなら、わざわざ共感を求めず、誰の前でも堂々とやれば良いのです。

でも、それをしないで、状況限定、相手限定でそれをするというあたり、甘え以外のなにものでもありません。

あんなことを続けていたら、やがて行き場はなくなります。

それがわからないほど、彼女は寂しい人なのだと、哀れに思えてきました。それは、以下の話を思い出したから。
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
あるとき、邪教徒の若い男が釈尊の所にきて、さんざん、悪口雑言ののしった。
黙って聞いておられた釈尊は、彼が言い終わると、静かにたずねられた。

「おまえは、祝日に、肉親や親類の人たちを、招待し、歓待することがあるか」

 「そりゃ、あるさ」

 「親族がそのとき、おまえの出した食べ物を食べなかったらどうするか」

 「食わなければ、残るだけさ」

 「私の前で悪口雑言ののしっても、私がそれを受けとらなければ、その罵詈雑言は、だれのものになるのか」
 
「いや、いくら受けとらなくとも、与えた以上は与えたのだ」
 
「いや、そういうのは与えたとは言えない」
 「それなら、どういうのを受けとったといい、どういうのを受けとらないというのか」
 「ののしられたとき、ののしり返し、怒りには怒りで報い、打てば打ち返す。
闘いを挑めば闘い返す。
それらは与えたものを受けとったというのだ。

しかし、その反対に、なんとも思わないのは、与えたといっても受けとったのではないのだ」
 
「それじゃあなたは、いくらののしられても、腹は立たないのか」
釈尊は、おごそかに、偈で答えられた。
「智恵ある者に怒りなし。
よし吹く風荒くとも、心の中に波たたず。
怒りに怒りをもって報いるは、げに愚かもののしわざなり」
 
「私は、ばか者でありました。どうぞ、お許しください」
 
外道の若者は、落涙平伏し帰順したという。
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
あるとき、ある男が、人に挨拶をしたら、挨拶を返さなかったというので腹を立てていると、彼は言った。
「笑うべきことだよ、君は身体の悪い人間に出逢っても別に腹を立てないのに、心が粗野にできている人間に出合ったというので、憤慨するというのは。」
 
byクセノフォーン ソークラテースの思い出
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
なぜ私が彼らにそこまで侮辱されて怒らないのかだって?
君は犬や羊に足を踏まれたからといって、逆上し気が違ったように激怒するのかね?
 
byソクラテス 

::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
人の悪口を言う暇があったら自分の事を向上させる方がよい。
自己の向上を心がけている者は、喧嘩などする暇がないはずだ。
byリンカーン
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

こんな言い伝えはいくらでもあるけど、ブッダの教えの最初の話など、まさに昨日のことと一致します。
あらゆる罵詈雑言を吐いたはいいが、誰にも受け取ってもらえなかった彼女は、自分でその怒りを持ち帰るハメになりました。怒りをぶつけたはいいけど、無視されて誰からも相手にされず、怒りの矛先は行き場をなくしてしまいます。関係のない相手にぶつけて八つ当たりしても同じこと。挙句、自分だけがつまらない思いをしただけというお粗末な結果に終わります。

当然ながらその結果にはオマケがつきます。「みっともない人ね・・」という、良くないイメージがついてまわり、孤立の道しか残されなくなります。すでに孤立しているけど、本当にそれを実感したときでなければわからないのかもね。寂しい人です。

ブッダの言葉に対して、彼女は「ナイフみたいに尖っては 触るもの皆 傷付けた」ギザギザハート状態。

あれっ? そういえば思い出した、彼女の口癖。「みんな私が悪いの?」とよく言います。

その心境は「あーわかってくれとは言わないがそんなに俺が悪いのか」という歌詞そのもの。

自分で引っ掻き回しておきながらその自覚はないらしい。やけっぱちにでもなっているのかな?

でも「15で不良と呼ばれたよ」ならまだいい。

15なら更生の可能性がまだあるから。でも彼女はもう53だぞ。

天命を知らなきゃいけない年になってるってのに、まだギザギザハートやってる。

前のエントリーに「誰からも嫌われる人などいない」と書きました。

Sさんも家庭に戻れば主婦であり、母です。バドの世界では寂しい思いをしているけど、自分の好きなことを自由にできる幸せな家庭環境があるのだから、決して不幸な人ではないはずです。マイナスの部分しか発揮できずに「寂しい人」と思われてしまうような環境に身を置くことよりも、「幸せな人」と思われる環境に身を置く方が、もしかしたら1ミクロンくらいはあるかもしれない(ないに等しい)彼女の本来持ち合わせているいい面を、素直にのびのびと出せるのではないかと思います。

少なくとも、やりたいことと、合っていることは違うなと、彼女を見て思いました。

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でvioletをフォローしよう!

Pick Up


(最終更新:2017/10/18)

About The Author

violet
はじめまして。ブログの管理人Violetです。
このブログは私が日々感じたこと、考えたことに独自の視点を交えて書き留めている忘備録です。読者の方に少しでも楽しんでいただけたら幸いです。詳しいプロフィールはこちら!
Follow :